2006年07月04日
かわうそ風鈴
M田さんの作った風鈴が一斉に東山につるされた。「チリン・・チリン」いい音ー!
制作中から話を聞いていたのでとても楽しみにしていた
かわうそのお話のついた風鈴
昔はクーラーをリモコンで「ピッ」なんてしない
扇風機もなかった頃、みんな着物着てウチワあおいでたんだろうなぁ
そう言えば、最近風鈴なんてあまり見ない
「南部鉄の音がよくて・・・」ともともと好きなお家や、おじいちゃんおばあちゃん宅には時々あるけれど・・・
たまにシャレた今時の住宅で、西洋チックなインテリ雑貨という感じのものは見るが
そうじゃなくていかにも“風鈴です!!”というM田さんの風鈴
届いて嬉しくてしばらくぼんやり眺めていた
ところがこの日たまたまだったのか、神様のいたずらか風が吹かない
「フーッ!フーーーッ!!」なんとか風鈴を鳴らそうとしたが動かず、しまいには手で揺らしてみる
「チリン!!」ちょっとやめてよ!と言わんばかりに怒り気味に風鈴は音を出した
私は仕事を横においてしばし風鈴と遊んでいた
M宮司からもメールが届く
「誠にいい音色や!」
みんなが待っていた風鈴は、素敵な風の音を、ちょっとほっとするような心の安らぎをくれるらしい
外に出てあちこちにつるされている“かわうそ風鈴”を見てなんだか感動した
ひとつ形になるまでの大変さ、人と人のつながり、思いetc
自転車に乗って150個もの風鈴の注文を取ったり、納品に配り歩く三味線屋のお父さん
たくさんの人の努力や気持ちがこの風鈴に入っている
東山メインストリートの入り口、広見に立った何も知らない人達は一体どう感じるだろう
私は一人一人捕まえてアンケートを取りたいくらいだ
“あれっ、懐華楼だけ中庭につるしてある!!いかん!人目につくようにしなくては”
私はB社長がつるしたものを勝手にはずして表にかけた
そこへB社長登場、こんなふうに教えられた
「風鈴というのは、見せびらかすものではないよ。奥にひっそりとかけて楽しむものだよ」
・・・そっか。
ちょっと残念な気持ちもあるけれど、B社長の言うことも理解し再び中庭に移動させた
風鈴の入った立派な箱にはM田さんの『東山かわうそ風鈴の制作によせて』が入っていた
子供の頃、実家の裏の下駄屋の夫婦に可愛がってもらったこと
職人さんの多かった街に育った記憶
自分を育ててくれた“もの”を作る風景とこの浅野川界隈の風景が重なって見えたらしい
「この街には文化、歴史と多くの魅力がある
それらは遺産としてではなく、そこに暮らしている人々によって積み重ねられている
生きた街としての魅力を醸し出しているのだ」
ハッとさせられた
昨晩、恒例毎月3日のビシャモン塾で一人の塾生が言った
「いい街やって言うけれど、子供は少ない、若い人はどんどん外に出て住まなくなる
街は外から来た人間が作った店やらなんやらで一見賑わっているが
わしら、この町で生まれ育ったもんはこの先どうなっていくんか不安なんや」
まちを守る、まちを作るということの難しさ
私のように外から来た人間と、もともと住む人の思い
私はM田さんの手紙を思い出しみんなに話した
「もともと住む人が分かるこの街の良さ、私らみたいな外から来たもんだからこそ分かる良さ
キレイ事ではなくてその思いを分かり合うことが大切ですよね
お店がいっぱいできて箱ばっかり立派になってもしょうがない
だってこの街の空気は建てもんが作ったものではなくて、住んでいる人たちが作ってきたものだから」
加賀鳶のT松さんも言った
「今までがどうとかこうとかではなくて、これからどうしていこうかってことが大事やよな」
帰り、神社の茅の輪くぐりをみんなでワイワイやった
くぐる順番が決まっていて、それがあっているとか違っているとかあーでもないこーでもないと言っている
大人がまるで子供に戻ったような微笑ましい光景
一人が私に言った
「あんた日曜お店におった?この前みたいに顔だけ見ようと思ったけど忙しそうでやめてん」
何よりも嬉しいお言葉
「いっつでも通ったら顔出してー。大歓迎やわ!いつもありがとう」
“この人たちと同様、街を守るためにできることを考えていこう”
あらためてそう思った夜だった
- by strobel
- at 11:18
comments
休憩時「かわうそ風鈴」のニュースを見ました。委員長、M田
さんのインタビューがあり、東山の魅力(文化、歴史、創造)をこの風鈴に託す一面を垣間見た気がします。M田さんの丹精
込めた一つ々が、東山を愛する人たちの響き(音色)として、訪れる人、元東山の人に伝わればと思うよ。まだ、音色聞いていないから、ゆっくり聞きにいきます。あんた(き○よ)にも会えたらいいよな。
えっ!まだあの音色聞いてないの・・・?やっくんとしたことが(-_-#)夜は風鈴片付けているお店がほとんどだから、晴れた日の日中是非東山へ!「顔みたい」「会えたらいいな」何よりも嬉しい私への褒め言葉。来たら是非顔出してくださいな!